どのようなファクタリング方法があるのか
買取ファクタリング・保証ファクタリング・一括ファクタリング・国際ファクタリングなど、実はファクタリングにはいくつかの種類があります。
これらにはそれぞれどのような違いがあるのでしょうか。
各サービスの概要をはじめ、メリット・デメリットについて解説いたします。
ファクタリングの種類とそれぞれの特徴
従来は売掛金・未収金等の債権を買い取るファクタリング(買取ファクタリング)が一般的でしたが、現在は様々なサービスへと派生しています。
利用企業にとっては、よりマッチするサービスを選べるようになったと言えますが、はじめてご利用の際は選択肢が多くて迷ってしまうのではないでしょうか。
まずは各ファクタリングの概要について簡単にご説明していきたいと思います。
買取ファクタリングとは
前項でも軽く触れましたが、売掛金や未収金等の金銭債権を買い取り、当該買取金を振り込む金融取引のことを「買取ファクタリング」と呼びます。
現在のファクタリング取引のほとんどがこちらの方式に該当し、最もオーソドックスな形と言っても過言ではありません。
なお、買取ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、それぞれでメリットやデメリット、手数料相場が異なります。
買取ファクタリングのメリット・デメリット
最も手軽に利用できる買取ファクタリングは、手続きが楽、スピードに優れているといったメリットがあります。
特に、スピードに関しては最短数時間での振込も可能となっており、数ある資金調達方法の中でもトップクラスと言っても過言ではありません。
しかしながら、手軽に利用出来てしまう点が災いし、無計画で利用してしまう企業が多くなっています。
慢性的な利用は更なるキャッシュフロー不足を招く危険性があります。
保証ファクタリングとは
保証ファクタリングとは、文字通り売掛金の一部を保証する契約です。
万が一売掛先が倒産してしまうと、当然ですが予定していた売上金が入金されなくなってしまう可能性が高く、企業にとっては大きなリスクと言えます。
そこで、ファクタリング会社や銀行に保証を依頼し、万が一入金されなかった際の保険として保証ファクタリングを活用します。
こちらは、例えば売掛金1,000万円の内800万円を保証してもらう、といった取引です。(保証可能な範囲は、債権額やその内容、売掛先の信用等によって異なります)
保証料は金融機関によっても異なりますが、保証金額の1~5%が相場となっています。
保証ファクタリングのメリット・デメリット
メリットはやはり、どのような状況でも確実に債権回収を図れるという点でしょう。
バブル期と呼ばれた時代、バブルがはじけたことで数々の企業が倒産し、倒産した企業に売掛金を有していた企業も次々に倒産してしまう、という事態が起こってしまいました。(いわゆる連鎖倒産)
「売掛先が1社に集中しているため、連鎖倒産の恐れがある」といった状況で、保証ファクタリングによるリスクヘッジは高いパフォーマンスを発揮します。
ただし、保証ファクタリングを扱うファクタリング会社はまだ少なく、基本的には銀行や消費者金融業者を利用する形になります。
また、ある程度まとまった金額でないと引き受けてもらえないなど、ファクタリングの中でもハードルが高いです。
一括ファクタリングとは
昭和から平成初期ごろにかけ、ビジネスシーンで「約束手形」と呼ばれる決済方法が流行しました。
約束手形とは、簡単に言うと「○年○月○日までに××円を支払う」といったように支払いの約束を記した証書のことです。
全く別の第三者への支払いに充てられるなど一定の流動性も有しているため、手形は当時のビジネスシーンにおいてなくてはならない存在と言えました。
なお、約束手形は所定の手数料を支払った上で現金に替えることもできます。
当該取引のことを「手形割引」と呼び、買い手は手数料を差し引いた上で買取金を支払うため、ファクタリングの前身に当たる取引と言っても差し支えありません。
この手形割引をシステム化したものこそが「一括ファクタリング」です。
一括ファクタリングは、予め債権者・債務者・ファクタリング会社(銀行)の3社でファクタリング会社を契約しておくことで、債権者の求めに応じてファクタリング会社が売掛金を前払いします。
つまり「常にファクタリングが可能な状態をあらかじめ作っておく」ということになります。
一括ファクタリングのメリット・デメリット
予めファクタリング基本契約を結んでおかねばなりませんので、必ず3社間(債権者・債務者・ファクタリング会社)での取引となります。
そのため、取引先の協力が必要不可欠であり、隠れて利用することはできません。
また、一括ファクタリングは銀行や消費者金融でしか扱っておらず、利用のハードルが高いと言えます。
ただし、売掛金の管理や入金のタイミングの調整が楽に行えますので、反復継続して利用する場合は非常に便利です。
もちろん、前払いを利用する場合は金融機関側に手数料を支払わねばなりませんので、買取ファクタリングと同様に使いすぎには注意する必要があります。
国際ファクタリングとは
国際ファクタリングとは、輸出代金が回収できなかった場合にファクタリング会社が当該債務を保証するという取引です。
貿易一般保険や輸出手形保険等の保険もありますが、手続きが煩雑である・追加費用が発生する可能性があるといったデメリットが避けられませんでした。
そこで、世界のファクタリング会社で組織された団体(FCIやFIGなど)が代金回収や保証業務を手助けすることで、貿易・輸出入取引の活性化を図っています。
国際ファクタリングを利用した場合、商品の代金は取引先→現地のファクタリング会社→利用した企業という流れで支払われ、仮に取引先から入金が無かったとしても、期日にファクタリング会社から支払われます。
国際ファクタリングのメリット・デメリット
海外企業から債権を回収するのは容易なことではありません。
5%程度のファクタリング手数料は掛かってしまうものの、入金が保証されるのは輸出業者にとって大きなメリットです。
また、従来の保険に比べて手続きが簡単・コストを抑えられると行った点も魅力と言えるでしょう。
ただし、国際ファクタリングは与信審査(取引先企業の信用調査)に数週間を要することもあり、急ぎで取引を進めたい場合には適していません。
各ファクタリングの特徴一覧
ファクタリング名称 | 内容 | 対象業者 |
---|---|---|
買取ファクタリング | 債権をファクタリング会社に売却し、早期現金化を図る取引 | 中小企業、個人事業主 |
保証ファクタリング | 国内で生じた売掛債権の入金を保証する取引 | 大手企業、中小企業 |
一括ファクタリング | 3社間でファクタリング基本契約を締結し、任意のタイミングでファクタリングが可能な取引 | 大手企業 |
国際ファクタリング | 海外企業に対する売掛債権の入金を保証する取引 | 国内輸出業者 |
各ファクタリング取引の内容や対象となる事業者は上記のとおりです。
“債権を利用した資金調達”という点で共通してはいるものの、その内容には大きな違いが見られます。
自社の業種、事業規模、どのようにファクタリングを利用したいか等で上手に使い分けると良いでしょう。